観光庁は12月14日、宿泊旅行統計調査の2012年7〜9月分の結果(暫定値)を発表した。延べ宿泊者数は1億2288万人泊で前年同期比が2.7%減、東日本大震災発生前の前々年同期との比較では0.2%減だった。47都道府県のうち26県が震災前の水準を下回っている。一部地域ではビジネス目的の宿泊需要に比べ、観光目的の宿泊需要が大きく落ち込んでいるとみられる。
延べ宿泊者数を月別にみると、7月が3693万6千人泊で前々年同期比2.1%減(前年同期比2.9%減)、8月が5069万4千人泊で同1.2%増(同1.5%減)、9月が3525万5千人泊で同増減なし(同4.1%減)だった。
年間の宿泊客の50%以上が観光を目的にした客である宿泊施設に限ると、前々年同期比の推移は、7月が5.4%減、8月が2.6%減、9月が3.9%減と全体の結果に比べてマイナス幅が大きくなっている。
都道府県別では、秋田県の減少が目立つ。延べ宿泊者数が93万5千人泊で、前々年同期比が35.7%減、前年同期比が32.3%減だった。観光目的の宿泊客が50%以上の宿泊施設に限って7〜9月の各月の動向をみると、前々年同期比で50%前後の減、前年同期比で40%台の減で推移している。
福島県、宮城県、山形県、茨城県なども観光目的の宿泊需要は引き続き厳しい。延べ宿泊者数全体では、復興関連のビジネス目的の宿泊需要などに支えられているとみられるが、観光目的の宿泊者が50%以上の宿泊施設の回復が遅れている。
延べ宿泊者数のうち外国人は658万人泊で、全体に占める構成比は5.4%。前年同期比で35.2%増となったが、前々年同期比では12.9%減だった。震災前の水準まで回復したのは15府県にとどまっている。
客室稼働率は全国平均が58.4%。施設のタイプ別には、旅館が39.9%、リゾートホテルが57.8%、ビジネスホテルが70.3%、シティホテルが75.7%だった。
宿泊旅行統計調査は、従業員数10人以上の宿泊施設はすべて、10人未満の宿泊施設は抽出して調査し、全体数を推計している。7〜9月期の回答数は1万8100施設。